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キルギスタンの地図

2017年4月3日更新

概要

キルギス共和国にも日本の国土地理院に相当する機関があるものの、同等のサービスは提供されておらず、今のところ登山等を目的とした一般的な地図には、旧ソ連陸軍制作の地形図か、インターネット上で公開されているオンラインマップ、またはごく少数の市販地図を用いる必要があります。衛星から得た数値標高モデルと各種GISデータをベースに、キルギス山岳協会オリジナルのアウトドアマップも制作中ですが、公開には今しばらく時間がかかる見込みです。

各山域の詳細については、「キルギスの山」をご参照下さい。

ソビエト連邦陸軍地形図

SMTMサンプルイメージ

ソビエト連邦陸軍地形図は、一般にSoviet Military Topographic Map(SMTM)として知られる、ソビエト連邦陸軍が第二次世界大戦後に制作した地形図で、1991年末からの政府組織の瓦解後に一般に流出したものが、様々な経路を経て各地に出回っています。当時のソ連の科学的知見や技術が応用された比較的精巧な地図で、もともと小縮尺図(100万・50万・20万分の1)は世界の大部分、大縮尺図(10万・5万・2万5千分の1)は旧ソ連全土をカバーをしていたとされますが、提供元によって現存するデータの有無はまちまちで、完全に地図領域を網羅しているウェブサイト等は確認できません。

キルギスタンについては、1970年代に発行された10万分の1図までは現在の共和国内全土がカバーされていますが、5万分の1図については東部を中心に断片的にしか残されておらず、2万5千分の1図は一部の国境付近に限定されています。地図にはそれぞれ、全球面の合理的な区画に基づいて、下図のようにK44-XV-65-3といった縮尺と位置に応じた識別番号がつけられており、キルギスタンは大区分K-42~44, J-42, 43が該当します。

ソビエト連邦陸軍地形図概略表
区画番号縮尺範囲備考
平行圏A-V(22)[北半球]
XA-XV(22)[南半球]
緯度4度幅[0-88º]赤道起点
標準区画各平行圏:1-60[30]1:1,000,000
(1cm:10km)
緯度4度 × 経度6度*
[緯度60度以上で経度12度]
西経180-0º:1-30
東経0-180º:31-60
大区画1-4(2×2)1:500,000
(1cm:5km)
緯度2度 × 経度3度旧ソ連圏全域
中区画I-XXXVI(6×6:36)1:200,000
(1cm:2km)
74.08km × 経度1度北米と大洋州を除く全大陸

小区画1-144(12×12)1:100,000
(1cm:1km)
37.04km × 経度0.5度欧州・旧ソ連圏(一部除く)

小区画:大1-144:1-4(24×24)1:50,000
(1cm:500m)
18.52km × 経度0.25度東欧・旧ソ連圏西部

各地図には格子線が記されており、地図原本における南北方向の方眼間隔は2cmですが、東西方向は緯度によって若干のずれが生じます。

経度1度あたりの距離は、緯度によって異なり、赤道(0º)から遠く極(90º)に近いほど短くなります。例えば、レーニンピークの位置する北緯39.3度で東西約86.14kmですが、首都ビシュケクの在る北緯42.8度では約81.68kmになります。

著作権の帰属について

現存しないソビエト連邦の政府機関によるプロジェクトのため、コピーライトフリーとするのが一般的なようですが、ソ連政府の正統な継承政権であるロシア当局に著作権があるとする見方もあります。ただ、英国の陸軍測量局(Ordnance Survey)が、ソ連陸軍によるイギリスの地図は剽窃した情報に基いているとして、この地図を商用にしないよう呼びかけるなど、国によって対応はまちまちであり、国際法上も統一的な見解は示されていません。いずれにしても日本やキルギス共和国内では、個人的な利用に関して特に問題はないと考えられます。

地図のダウンロード

地形図のラスターデータは、下掲の地図からか、直接外部サイト(Maps for the world)にて無料でダウンロード可能です。SMTM10万分の1図であれば、リンク先画面右上のドロップダウンメニューから”Russian army maps”と”1cm to 1km”を選び、グーグルマップ上の目的の地域にズームすると表示される適当な青枠のグリッドを選択してください。”Map 100k-“で始まる青字の地図ファイル名をクリックすると、ダウンロードメニューが表示されます。

キルギスタン全土地形図

地図上のグリッドをクリックすると、該当領域の地形図(SMTM20万分の1図等)をダウンロードできる外部ページが表示されます。

SMTM20万分の1図区画一覧
キルギスタンのSMTM20万分の1地図
K-43-XXXIIIK-42-XXIXJ-42-IXK-43-XXJ-42-VK-43-XVIIK-42-XIIJ-42-IVK-43-XVJ-42-VIK-42-XXIVK-42-XXIIK-43-XXIIIK-43-XIK-43-XXXIVK-42-XVIK-42-XVIIK-42-XXXVIK-43-IIK-42-XXXIVK-43-XXXVJ-42-XIK-44-XXVK-42-XXVIIIK-44-IXK-43-XXXIIK-44-XXVIK-43-XIXK-43-IXJ-42-XK-43-IIIK-43-VIIIK-44-XIVK-44-XIXK-42-XVIIIJ-43-IVK-42-XXXVK-43-XXXVIK-43-XIIJ-43-IIJ-43-VIIK-44-VIIK-43-XXXIK-43-XIVK-42-XXIIIK-43-XXIK-43-XXVIK-43-XXIIK-43-XXIVJ-43-IXK-43-XXVJ-43-IIIK-43-XXVIIK-43-XXXK-44-XXIK-43-XXIXK-43-XVIK-44-XVK-44-VIIIK-43-XIIIK-44-XIIIK-43-XVIIIJ-43-IK-42-XXXK-42-XXXIIIK-43-XXVIIIK-44-XXJ-42-XIIK-43-XJ-43-VIIIK-43-VIIK-43-IVK-42-XXIJ-43-VJ-42-III

地名の表記について

キルギス共和国は1991年8月31日のソ連からの独立以後、首都名をフルンゼ(Фрунзе/ Frunze)からビシュケクに、イシククル西岸の都市はルーバチエ(Рыбачъе〈漁場〉)からバルクチュ(Барыкчы/ Barykchy〈漁師〉)に、東岸の街はプルジヴァリスク(Пржевальск/ Przhevalsk)からカラコル(Каракол/ Karakol)に改めたように、道路名・山名を含む全国の地名を、ソ連併合以前の呼称かキルギス文化に馴染む名称に逐次変更しているので、古い地図や資料を用いる際には注意が必要です。ソ連陸軍が制作した地形図も、多くは1970年代前半に発行されたものであり、 道路・地名標識の表示やGoogle Map等のオンラインマップ・住民への浸透具合もまちまちなので、混乱が生じたときは旧名や通称を確認してみるとよいかもしれません。

山名についても同様のことがあてはまりますが、アルピニズムの世界ではロシア系の関係者が多いためか、生活に関わりの深い河川・渓谷名を除いて普通キルギス語名はあまり普及していません。ただし、例えば最高峰のポベダ峰(勝利峰)は、一般にはキルギス語でジェンギシュ=チョクス(Жеңиш-Чокусу/ Jengish-Chokusu)〈勝利の頂〉としても知られています。

尚、以下のようなキルギス語[ロシア語]の語彙は地名に頻出します:

  • тоо(су)/ too(su):山[※-суは所属接尾辞]
  • Ала-тоо/ Ala-too:(部分的な)天山山脈
    [RU:Алатаu/ Alatau]

  • кырка тоо(су)/ kırka too(su):山脈
    [RU:хребет(а)/ hrebet(a)]

  • чоку(су)/ choku(su):孤立峰
    [RU:пик/ pik]

  • таш/ таsh:岩、岩峰
  • төр/ tör:(牧草地としての)高原、上座
  • ашуу/ ashuu:峠、鞍部
    [RU:перевал/ pereval]

  • суу/ suu:河川、水
  • көл/ köl:湖[RU:куль/ kul’]
  • ак/ ak:白い
  • кара/ kara:黒い
  • кызыл/ kızıl:赤い
  • жайлоо/ jayloo:(奥地の)夏期放牧地

キルギスタンの市販地図

キルギス国内では、良質の地図を入手・購入或いは印刷するのは困難なため、以下のような地図を事前に用意しておくこともおすすめします。

  • Garth Willis, Kyrgyzstan: A Climber’s Map & Guide [Ala Archa National Park 1:50,000/ Western Kokshaal-Too 1:150,000/ Karavshin 1:20,000] (Alpine Mappin Guide, 2005)
    :登山者向けの、アラアルチャ国立自然公園・西カクシャール山脈・カラフシン渓谷一帯の地形図と概説
  • Kyrgyzstan/ Кыргызстан 1:750,000 [Bishkek/ Бишкек 1:30,000] (Gizi Map Hungary, 2014)

中央天山山脈

オリジナル登山地図は現在制作中です。