アラアルチャ国立自然公園は、首都ビシュケク郊外のキルギスアラトー山中に位置するキルギスにおける上高地と穂高連峰のような位置付けの自然保護区で、舗装路が通じているため、登山者のみならず夏は一般市民や要人も避暑やバーベキューなどに訪れます。道路の終点周辺には宿泊施設や小商店があり、アクサイ渓谷に沿って壮大な景色の中の小径を氷河下部まで登って行くと、登山者用のアクサイ小屋が建てられているラツェックキャンプに到ります。周囲は氷雪を身に纏った雄大なジャンダルム達に見守られた別天地で、初級者から上級者まで様々なレベルのルートがあり、ソ連時代から登山・クライミングの拠点として賑わっています。
ロシア語で〈御伽話〉という意味のスカスカ(Скаска/ Skaska)は、その名のとおり、乾燥と浸蝕が生み出した赤や黄色の風変わりな造形の奇岩群が、城壁と天守閣を備えた城のようにそそり立っている名勝地です。岩や丘陵の狭間は迷路のように入り組んで不思議な景観を作り出しており、天然の長城にそって散策することも可能です。
キルギスの山々は、主に天山山脈とパミール高原の二つの大規模な山塊からなっており、その地質学的性質も異なっています。キルギスタンの地理を把握する上では、広義の天山山系をさらに7つに分けて、下の図のように便宜的に8つの山域として考えることができます。それぞれの地域にはさらにいくつかの長大な山々の連なりがあり、全土にははおよそ88の山脈があると言われています。